制作過程 ~粘土~ / PRODUTION PROCESS -CLAY


クジラフィギュアができるまでをご紹介。ただし作り方は素人の我流です。

Here is the making process of a stone clay orca. (Though I am not a professional.)


<道具編>

基本は小学生が使うような粘土板&粘土ベラ。あと100円ショップで買った裁縫針セットの数本。一番細い1本は口元などの細い線を入れる時に使うため、つまみやすいように樹脂粘土で持ち手を付けています。

<造形編①>

 最近のお気に入り粘土は「Mr.クレイ」。やや強度に欠ける気もしますが、軽くて乾燥後に加工しやすいので重宝しています。それをコネコネしてそれらしい紡錘形にまとめます。後でヒレを作るために粘土の一部を取り分けてラッピング保存。粘土の隙間をつなぐための水も用意。ここでできるだけ表面をきれいにしておくと後が楽。

<造形編②>

 体の形をおおまかに作ったら、尾ビレを作ります。別の粘土をくっつけるのではなく、ボディからこね出して作ります。なんとなくその方が強度的に安心な気がします。シャチの尾ビレは絶妙なカーブを描いているので、時折写真で形を確かめながら作ります。それなりに時間がかかるので、乾燥を防ぐためにボディの前半分にはラップを巻いて作業しています。

<造形編③>

 尾ビレができたら今度は頭。シャチの特徴である吻(口先の微妙なでっぱり)をうまく造形するのはなかなか難しいです。しかも個体差もあるので写真の印象もまちまちです。それから目の部分をちょっとだけ盛り上げて、目の位置を頼りに口のラインを裁縫針で引きます。ここで表情がほぼ決まるので、一番気を遣うところ。

<造形編④>

 専門家の方に訊くと、シャチの目は濃いめの茶色だとか。というわけで、瞳は茶色のオーブン粘土で作ります。1mm径でも全然大きすぎるので、文字通り吹けば飛ぶようなサイズの球体をちまちま丸めます。たまに手が滑ってせっかく作ったものがどっかに消え失せます。畳なんかに落ちた日にはまず探し出せません。いろんなサイズを作り溜めしておいて、ボディのサイズに合わせて使います。付ける時は、目のでっぱりのところにちょっとだけ切込みを入れ、そこにこの瞳を埋め込んで周りを整えます。

<造形編⑤>

 お次は背ビレ。これは最初に取り分けた粘土で別に作ってくっつけます。シャチ研究で個体識別に使われるくらいですから形は千差万別。傾いてたり、クネクネ曲がってたり、切れ込みがあったり、先っぽだけカールしてたり・・・。自分のお気に入りの1頭の形になるよう造形していきます。個人的に、立派なオスの背ビレよりも絶妙なカーブを描くメスの背ビレの方が難しいです。

<小休止>

 背ビレができたら、お腹のへこみ、噴気孔、生殖孔など細かい部分を作って一休み。ここで2週間程度自然乾燥させます。本当はもっとこまめに乾燥時間を取って少しずつ継ぎ足ししていくのが上手なやり方なのでしょうが、そこまで待てない性分のためここまで一気に作ってしまいます。粘土を始めた頃は胸ビレまで同時に作っていたのですが、乾燥させる際の置き方が難しいため(変な凹みができたり、転がり落ちて悲劇を見たりしたこと多数)、最近は胸ビレを後付けするやり方をとっています。

<造形編⑥>

 ボディを完全乾燥させたら胸ビレの取り付け作業に入ります。鉛筆でだいたいの位置決めをして、彫刻刀でちょっと穴を掘って別の粘土で造形した胸ビレを差し込むようにしながら周囲をならしてくっつけます。

<造形編完了>

 ここまでで基本の造形は完了。ほぼシャチとわかる形になりました。ここで形に納得できなければ、粘土を盛ったり削ったりして微調整することもあります。一発でうまく形が取れるようになるにはまだまだ修行が足りません。。。


<研磨編①>

 写真でもお分かりの通り、フリーハンドで粘土をコネコネするので表面は月面のような凸凹状態。なので次はこれをキレイにします。スポンジ研磨材(左上)・空研ぎ紙ヤスリ(右上)・ノーマル金属ヤスリ(下)等々を使って280番→600番→1000番くらいで段階的に。ただし本物のシャチ肌も決してパーフェクトにツルツルではない(ように見える)のでほどほどに。

<研磨編②>

石粉粘土の粉じんと格闘しつつ、表面が滑らかになるとシャチらしくなります。写真は奥がBEFORE、手前がAFTER。ちなみに瞳の部分には間違って削ってしまわないようマスキングテープを貼っています。

<研磨編 オマケ>

シャチの造形で一番こだわりが出るやっぱり背ビレ。実際に研究の場で個体識別に使われるくらいですから、形は一頭一頭で全然違います。人間でいうと顔みたいなものでしょうか。筋金入りのシャチ好きの方からは「どこそこの○○という個体を作ってほしい」というご要望が来ることも珍しくありません。特定の個体を再現する場合は、写真とにらめっこしながら細かいカーブや凹凸、後縁部の切れ込みなどをできるだけ模倣するよう努めます。こういった細かい造形作業は全体の研磨が終わった最後、作っていて一番楽しい部分でもあります。

<研磨編完了>

全体の研磨が終わるとこんな感じ。3つ上の写真と見比べると表面の滑らかさがよく分かるかと思います。


<台座編①>

東●ハンズに売っている木製の楕円飾台を使います。それに3mm径の穴をあけてもらい、サンドペーパーでちょっと下地処理をしてから布で擦り込むタイプのウレタンカラーニスを塗って風合いを出すようにしています。ちなみにニスの色はチークがお気に入り。右がニス塗前、左がニス塗り後です。

<台座編②>

台座と作品をつなぐ支柱は3mm径の真鍮棒を使っています。長さはシャチのポーズによって様々ですが、だいたい10cm弱くらい。シャチ本体にも写真のピンバイスで穴を開けます。

<台座編完了>

せっかくきれいに作ったシャチに穴をあける作業はなかなか緊張します。ブリーチングのポーズだと、写真のように思いっきり胴体の真横に穴あけして支えないといけません。うまくあけられるとホッとしますが、失敗するとエライことに。ともあれ、最後に穴の縁の部分を細かいサンドペーパーでならして台座編完了です。


<塗装準備編①>

塗装の前段階として、ホワイトのサーフェイサーを吹いて下地をつくります。模型用品メーカーさんのスプレータイプのものを使っています。サフ吹きすることで細かい凹凸がカバーされるので表面がよりスベスベになって、この後のアクリル絵の具の乗りもイイ感じになる気がします。吹く回数はだいたい2~3回くらい。一度吹いて、1000番くらいのスポンジ研磨剤でならして、また吹いて、の繰り返し。アイパッチとかお腹側とか、完成したときに白く残る部分はこのサーフェイサーをそのまま活かしています。

<塗装準備編②>

白黒のコントラストが強烈なシャチならではのやり方ですが、体の色の塗り分けにはマスキングテープを使っています。どこにでも売ってる黄色のやつです。ここではアイパッチを例にご紹介。まずはテープを適当な形に切って、ここらへんかな~という位置に仮止めします。

<塗装準備編③>

次にボールペンでマスキングしたい形を描きます。

<塗装準備編④>

テープをいったん剥がしてデザインナイフでカットし、もう一度本体に貼り付けます。要するに「一度貼る→下書き→はがす→切る→もう一度貼る」という(効率の悪い)作業ですが、アイパッチはシャチの表情を決める部分でもあるので慎重に。

<塗装準備編完了>

全体がマスキングできるとこんな感じ。だいぶシャチっぽいです。ちなみにサドルパッチと尾ビレの裏側は白と黒の境目がぼやけているのでマスキングは使いません。


<塗装編①>

塗装に使っている道具もいちおうご紹介。「Mr.リニアコンプレッサーL5/プラチナ/レギュレーターセット」です(画像はメーカー様から拝借しました)。トリガータイプのダブルアクションで塗料の吹き出し量の微調整がしやすい点と、コンプレッサーの音が静かな点がお気に入り。塗料はごく普通のアクリル絵の具「ターナーアクリルガッシュ」を2~3倍に薄めたものを使っています。溶剤系の塗料よりも乾きが早くて下地色の隠ぺい力も十分だと感じています。もちろん水性なので溶剤のような有害刺激臭がないところもありがたいです。

<塗装編②>

「薄い色から先に塗る」という絵の基本に則りまして、まずはグレーのサドルパッチから。だいたいの範囲でグレーを吹いて、乾いてから濃いめのシャーペンでうっすらとサドルパッチの形を描いておきます。

<塗装編③>

下描きした線を参考にブラックを吹きます。多少はみ出しても気にしない。(写真でも分かる通り、粒子がやや粗めなのが目下の課題。塗料が濃すぎるのか、エア圧が低すぎるのか、試行錯誤していますがなかなか既製品のような美しいグラデーションになりません。解決策をご存知でしたらぜひアドバイス頂きたいところです。)

<塗装編④>

同じ感じで尾ビレの裏側を吹き吹き。こちらは形はそれほどこだわらないので鉛筆での下描き等はしてません。後縁部にブラックがやや回り込んでいるところ、付け根のお腹側のホワイトあたりが自分なりのこだわりポイント。

<塗装編⑤>

ブラックは強い色なので簡単に下地を塗りつぶせる気がしますが、乾かしてみると意外と塗り残しがあるもの。あっちこっちひっくり返してチェックしながら、サドルパッチと尾ビレの裏側を除く全身をもれなく真っ黒にコーティング。

<塗装編⑥>

塗料が十分乾いたらマスキングテープを慎重にはがします。真っ黒なボディに真っ白な模様が浮かんでくる瞬間が楽しみでもあります。

<塗装編完了>

マスキングテープをはがすと、目の周りや口元に塗り足りない部分などが出てくるもの。またお腹の細かい黒い模様も塗り足さないといけません。このあたりは普通の筆塗りの要領で、極細の筆を使ってチマチマ描きこんでいきます。逆にブラックがはみ出してしまった箇所があれば、デザインナイフの先っちょを使って軽くなでるように慎重に削り取ればブラックの絵の具だけをきれいに消すことができます(このあたりはホワイトが絵の具ではなくサーフェイサーをそのまま利用しているからできる小技かもしれません)。そんなこんなで細かいお化粧仕上げをすれば、いちおうちゃんとしたシャチの外見が完成します。でも、このままではちょっと引っ掻いただけですぐに色が剥げてしまう状態なので、最後に大事なコーティング作業に入ります。


<塗装編①>

ここでもお世話になっているのは「水性トップコート」。ラッカー系は体に悪そうだし下地のアクリルとの相性も良くないのであえて水性を使っています。スプレー式なので、まず尾ビレの方をつまんで前半身にプシュー、それが完全乾燥したら今度は頭を持って後半身にプシュー、という要領で塗っています。1度目は「光沢」、2度目は好みで「ツヤ消し」か「半光沢」を吹きます。

<塗装編②>

いよいよ最後の仕上げ。ツヤ消しでコーティングした場合、眼までマットになってしまうので、生き物らしさ(?)を出すために眼に光沢のあるアクリル塗料のクリアをちまっと筆塗りします。


<完成>

最後に台座にセッティングして完成。ここまで拙い写真と文章にお付き合い頂きありがとうございました。何の参考にもならないと思いますが、逆に改善のためのアドバイス等頂ければうれしいです。

 

ちなみにスタートから完成までに要する期間はおよそ2~3ヶ月程度。平日は夜中限定の作業、悪天候の日は塗装ができない等々、いろいろと障害がありますので焦らずゆっくりのんびり作業しています。